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米中貿易戦争の真の勝者は誰か?

トランプ政権が打ち出した関税政策により、世界中の経済が大きな影響を受けている。私の仕事も例外ではなく、頭を抱える日々が続いている。しかし、ここでふと思ったのだ。本当に米国は勝利したのだろうか?

トランプさんは「中国に勝った」と胸を張っているが、実際のところ、私は中国が勝者なのではないかと感じている。なぜなら、米国は中国なしでは生きていけないが、中国は米国市場を失っても生きていけるからだ。

貿易戦争が激化する中で明らかになったのは、米国の産業は中国への依存度が高いという事実だ。特にレアアースは、米国産業界にとって死活問題である。ハイテク製品、エネルギー関連、軍事技術まで、幅広い分野で必要とされるレアアースの供給は中国が握っている。

5月12日にジュネーブで行われた通商交渉では、大幅な関税引き下げで合意がなされた。しかし、中国のレアアース輸出規制は依然として継続中だ。この事実が何を意味するかと言えば、日本含む西側諸国は中国の一挙一動に怯える日々が続くということだ。

2010年に日本向けのレアアース輸出を一時停止したことで、世界は中国の強力なカードを目の当たりにした。以来、日本は調達先の多様化に動いたが、米国は未だに大きな一歩を踏み出せていない。

中国はレアアースが米国のアキレス腱であることを十分に理解している。だからこそ、今後も交渉の場でこの禁輸カードをチラつかせるだろう。米国としては、このカードを突きつけられるだけで、防衛産業やハイテク産業が揺らぎかねない。もはや、関税引き上げの「はったり」をかますことも難しくなるだろう。

結局、米国は関税を170%まで引き上げたものの、持続不可能であることを露呈しただけだった。消費者の負担が増え、物価は上昇し、企業も生産コストの増加に苦しむ結果となった。関税政策はハッタリであり、実体経済に与えるダメージは米国自身が背負うことになった。

一方の中国はどうだろうか?

確かに一部の産業は打撃を受けたものの、東南アジアやアフリカへの輸出先の多様化を進め、影響を抑え込んむだろうし、レアアースの独占を武器に世界に自らの存在感を示し、「中国なしでは成り立たない」現実を突きつけたのだ。

真の勝者は中国なのか?

私は今回のディールを見て、真の勝者は中国だと皮肉にも思わざるを得ない。

中国は世界に「レアアース禁輸の恐怖」を植え付け、中国なしではグローバル経済は成立し得ないというメッセージを強烈に発信した。そして、実際にその通りであることを、トランプ政権が証明する形になった。

アメリカ・ファーストはただの幻想だったのかもしれない。

トランプ氏が振り上げた拳は、最終的には下ろさざるを得なくなり、むしろ中国の影響力をさらに拡大させてしまったのではないだろうか。

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