先週は来年度の販売計画とか利益計画の内部審議が行われた。
変化の激しいビジネスの世界ではあるが、幸いにして私が所属する会社の業績数字は絶好調だ。
だが、将来の見通しが磐石かと問われれば、私は懐疑的な気分にならざるを得ない。
色々と問題がある。
私が不安視するのは経営トップの質といっていい。特に決断力はとてもじゃないが目を覆いたくなるお粗末ぶりである。
会社の経営者の最も重要な仕事は決断を下すことだと私は信じている。部下を怒鳴り付けることが仕事ではない。
決断を下すに当たって、勿論責任が伴うこともあるだろう。経営者が数字の責任を取るのは当たり前のことだ。株式会社なんだから当然のことである。
責任を取るからこそ社長を筆頭に取締役連中は通常の社員の10倍以上の報酬を得ているのだから。責任を取らないのならただのおじいちゃんだ。
私が偉いさんが出席する会議に出ていていつも感じる違和感はここにある。
彼らの口から出る言葉はいつも「評論家コメント」だ。自分から決断しないし、命令しない。「このままじゃダメだ的」な雲を掴むいうな薄っぺらいコメントばかりだ。
例えば、
「このプロジェクトは早く決断を出さないと下手したら来年の今頃も同じこと説明することになるぞ」
「いくつかの地域を限定して試験的にやってみれば?」
…随分他人事みたいな言い方するのね。あんたらいつから相談役になったんだよ?
ってのが私の印象です。
当事者ならもうちっと別の言い方あるはずだ。
この件に関して部長以下の実務担当者の悩みは投資回収の見通しを立てることが難しいということにあった。
投資をして新しいサービスを提供しても、顧客がそれに対価を払ってくれるかどうかわからないのである。
それをわかってて、「早く決断を出せ」と言ってのけるところが経営センスの無さを物語っている。
私ならせめて「失敗してもいいから○○までに決断しよう(最後は私が判断する)」と言い切るが。
そもそも事業投資とは暗闇の中を手探りで進むに近い行為であり、仮に完璧な企画書を作って様々なリスクに対して対策を講じたとしても、想定外のことは起こりうるわけで成功が100%約束されているわけがない。
投資判断のための様々な分析は不確実な投資の失敗リスクを少しでも減らすためにやるわけで、それは実務担当者の役割であるし、それを放棄せよと言いたいわけではないのだが、
時には回収の見通しがなくてもリスクをとって投資することも必要だ。
投資して失敗するリスクと何もしなかったリスクを天秤にかけて最後に経営判断が下されるべきだ。
その結果責任は経営者が取ればいい。
経営者が自ら決断しない或いは責任から逃げてばかりの会社が未来永劫繁栄できるとは思えない。
おわり