三菱UFJ銀行が本部の人員に大なたをふるうとの記事が日経に出て少し界隈を騒がせているようだ。
なんでも丸の内の本部の人員3,000人を営業などに配置転換するというのだ。本部のヘッドカウントがほぼ半減するらしい。
三菱UFJに限らないが、メガバンクはこれから起こるであろうフィンテック革命とそれに伴う従来の利益基盤の喪失に備え、少しずつリストラを進めていた。
以下の記事は記憶に新しい。
大手3銀行が合理化加速 IT導入で業務量削減(2019/3/19)
社員の自然減に加えて新卒採用を減らして人員をスリムにする。
またインターネットが隆盛を誇る中、店舗や支店の統廃合も待ったなしで進めていくことを2017年の段階で発表していた。
日銀のマイナス金利に長引くゼロ金利政策。ネット銀行やネット証券の台頭。それに加えてブロックチェーン技術による送金手数料の価格破壊の不安にキャッシュレス社会。。。
これらの不安要素を考えるにつけメガバンクの未来は暗澹たるものだった。そのせいで株価も割安で放置されている。
こんな中、今回の配置転換のニュースが報ぜられたわけであるが、個人的には同行の鬼気迫る生き残りをかけた意思を強く感じる。
経営層は本来、もっとも重いコストセンターである本部にもっと早い段階でメスを入れたかったに違いない。同行に限らず本部(本社)というのは費用の塊で基本的に何の利益も創出しないからだ。
本部は人の体に例えれば腹にたまった脂肪みたいなものだ。
この脂肪のせいで体型は崩れ、皮膚はかさつき、血糖や血圧が高く不健康にさせる。そして徐々に余命を削り取っていくやっかいものだ。
だから手術をするなら本来は万病の元である脂肪を除去したかったはずで、それには一定の合理性がある。
元大手銀行の方のネットの書き込みが参考になるので引用しておきたい。ホライズンキャピタルパートナーズCEOの安東泰志さんの書き込みです。
皆さま、良くご存知ないからなんか優しいコメントが多いですね。ブロックチェーンとか全く関係ないです。銀行の企画部門にいた者としては、当然の動きとしか言いようがないです。本部は銀行官僚の巣窟で、仕事を作るために仕事をし、行内のパワーポリティクスの場。隣の部とのつまらないミーティングにも両部から5人10人が出てきて、その議事録の擦り合わせで2〜3日に亘って最低4〜5時間はかかり、それを各部のヒラから部長、更に関係部、関係役員に回覧すると印鑑が20くらいになることもあり、その最中に差し戻しとかがある。合併以降は余剰人員の受け皿にもなっていました。しかしこの余剰人員が下手に高学歴、高収 入でプライドが高いからまた余計な仕事を増やす。そして、こうした無駄な経費は、総括原価方式で店頭の顧客に付け替えられているのてです。今回の経費カットは、ブロックチェーンとか関係なくて、単に、超低金利のせいで、その経費を顧客(特に預金金利)に付け替えられなくなったからです。その本部の実態を詳細に描いて非常に反響が大きかった過去pickが以下です。GWの読み物としてどうですか(笑)。
↓
https://m.newspicks.com/news/187617/
銀行に限らず本社という場所はどこも程度の差はあれど似たようなもんです。
これまでわかっていても脂肪除去手術に踏み込めなかったのになぜ今なのか?
それは組合を黙らせることに成功したからに他なりません。
これしかない。
組合を懐柔するための秘策。それが組合のベア0.5%アップ要求に対して経営が返した1.0%アップです。
これこそが今回の配置転換を見据え、経営者がうった布石とみます。
もはや組合は何も言えず、今回の配置転換を認めざるを得なくなったに違いありません。
今回は経営者が一枚上手だったということでしょう。
さて、連休明けの株式市場は同行のリストラを好感して若干上げるのではないかと予想します。
配置転換を食らう側も配置転換の受け皿となる現場も大変でしょうが、まぁその苦労に見あった給料を貰っていると考えて頑張って欲しいと思います。
同行は必ず生き続けるに違いない。そう信じています。
おわり