私は就職氷河期ど真ん中のアラフォー78生まれです。
来年は不惑の40歳となります。訳あって就職は2003年(ストレートに大学卒業してれば2000年入社)で、なんとか当時の研究室の教授の紹介もあって一部上場企業に滑り込むことができました。
サラリーマン歴は今年14年目です。
最初の会社では希望していた研究職には就けず、語学力が買われていきなり海外営業職に配置されました。
前の会社で5年勤めた後、30歳の頃に意を決して今の会社に転職しました。今も海外関係の仕事をしております。
この歳になって転職は考えていませんが、前回転職時にお世話になったリクナビには登録しており、レジュメの内容も時々更新してます。
そうすると企業や人材派遣会社からプライベートオファーがけっこう来るんです。意外にもこの歳でも求人はあるのですね。
そんなオファーメール、たまには面白そうな内容だったりします。今回はそんなオファーを一件ご紹介致します。
業界:食品系
職種:海外営業の責任者または将来的な責任者候補
勤務地:東京
求める人物像:食品営業もしくは流通向け営業経験者で英語力のある者
募集背景:3年前から海外販売に取り組み始め、当初は商社を介した取引であったものの利益率向上を目的とし、直販に切り替えることとなりました。しかし、欧米など販路開拓を担える人材(特に英語力)がいないため試行錯誤している状況。今後の海外事業拡大に貢献頂ける人材を募集中です。
給与:500万円~700万円
休日:年間111日。原則土日休暇も会社カレンダーのため、週1-2回土曜日勤務あり
色々と突っ込みたくなる求人内容でした。
まず、募集背景が切実ですね。後先考えずに商社をぶったぎるとは凄い。普通、プランBを周到に用意してから切るのがビジネスの定石なんですけど。
そういうことをせずバッサリやるのはワンマン経営だからできることでしょう。会社のHPを見ましたらやっぱり非上場企業でした。
社長:「あそこの商社、口銭ばかり高くてやっとれん。ぶったぎってやったわ!」どや顔
私:「あのー、社長。ぶったぎるのは構いませんけど、来月から販売ゼロになっちゃうのですが・・・」
この会社がやろうとしていることは所謂「直販」というやつで、輸出事業に活路を見いだしたメーカーが昔から取り組んできたことであり、方向は正しいと思います。
しかし、販路開拓と一言でいいますが、多少は海外ビジネスをかじってきた私からするとのものすごく難易度が高いことであり、一朝一夕でできることではない。
語学力はビジネスレベルではキツイでしょう。それに加えマーケティング(そもそも市場性があって儲かりそうかの調査)から始まり、パートナー企業(代理店と呼ぶ)選定と相当高いビジネスセンスが同時に求められます。
それに現地の商習慣、法制度も日本とは異なるケースも多く、食品なのでクリアしなければならない品質基準も当然考えられます。
パートナーの目星をつけたら今度は契約交渉、条件交渉といった日本人が苦手な契約交渉に入ります。
それにパートナーの財務状況も確認が必要になるでしょうし、金をかけて信用調査も必要となるでしょう(たいていP/LもB/Sも出てこないのですが)。
やることはてんこ盛り。知るべきこともてんこ盛り。想像するだけでゲロでそう。
法律家や会計士などは外部にアウトソースすればいいので必ずしも全てに精通する必要は無いものの、決断を下すにはそれなりの知識と経験が必要になります。
それに物理的な距離もあります。東京にいながら出張ベースでやろうとしても大変な労力と時間を要するでしょう。
海外の販路開拓という今後の同社の成長を支えるかもしれない重要な仕事とポストが与えられるとうことは仕事のやりがいはあるかもしれません。
けども、相当タフな仕事が待っているのは間違いなさそうです。
そして、この求人の一番の問題点、それはこのような高スペックな人材に対する報酬がたったの年収500万円~700万円だいう点に尽きます。
この程度の報酬で求める人材が見つかるとはどうしても思えません。少なくとも1000万円級のジョブだと思いますよ。
それに休暇も少ないし土曜日出勤もある。労働環境は悪そうですね。
この会社の社長さんに一言いうとすれば、「あめーよ。こんな待遇でハイスペック人材来るわけないだろ。まず処遇と労働条件見直せよ」ってことですかね。
おわり