集中投資か分散投資か

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ほとんどの人にとって投資の目的は資産を増やすことだと思う。稀に趣味として株式投資をやっている強者もネットで見かけるが、殆どの人が集中投資より分散投資を薦めているし、実践しているようだ。

「卵をひとつのかごにもるな」とはよくいったもので、うっかりかごを落として卵を割っても卵は別のかごに別けてあるから一度に全ての卵を失わないで済む。

なるほど極めて合理的な思考だと思うし、流石に私も一銘柄に全財産を投下しているわけではない。現金や外貨預金も含め幅広く資産を分散して守り育てるというのは合理的な考えだ。

だが、それが当てはまるのは億を越える資産をもつクラスだと思うのだ。このクラスになると資産を増やすというより減らさないのが資産運用の主たる目的となっているからだ。

つまり、分散投資というのは私のような資産形成期にあるクラスにとって当てはめるのは難しい。分散ではなく、集中投資。資産形成期には集中投資が重要だと考える。複数のアセットに分散すればどうしても資産形成のスピードは落ちてしまう。

ちなみに私は100%株式投資を実践している。細かく言えば確定拠出年金は一部外国債券も買っているから100%ではないが微々たるものだ。

過去には外貨(ドルとユーロ預金)もやったし、REITにも手を出したこともあった。だが、早々に売り払って株式投資に資産を振り替えた。

株式投資も私が保有する銘柄数はそれほど多くない。数えてみたら15銘柄だった。この中には優待目的で最低単元だけ買った銘柄も含まれているので、実際、投資金額の8割はわずか6銘柄で占められている。

6銘柄は商社、自動車、部品素材、食品、通信といった分野になんとなくだが分散されてはいる。といっても私の経験上、円高にふれれば殆どの銘柄が値下がりするし、ギリシャショックだとかチャイナショックが起こればもれなく全ての銘柄が被弾する。

したがって株式投資において銘柄の分散投資はあまり有効ではない気がする。景気動向に左右されにくいディフェンシブな銘柄でさえ、ガンガン値を下げることだってあるわけで。

しかし、1000万円以上の資金をたったの6銘柄に投資して怖くないのか?と思われるかもしれない。全然怖くない。怖くない銘柄に投資しているから怖くないのだ。特に私が恐怖耐性が高いわけではない。

私が6銘柄に絞って殆どの資産を投資しているのは私なりに考えてのことだった。例えば私は三井物産に投資しているが、原油価格が暴落した数年前に集中的に仕込んだ。原油価格は必ず上がり、資源商社の業績は必ず改善し配当も戻ると読んだからだ。

結果はだいだい思惑通りに進んだ。底値で買えた訳ではないが、株価も配当も中期的には上がると思えたからこそ落ちるナイフを掴みにいった。

そして今、大きな含み益と増配という果実を得られている。これが株式投資の醍醐味なんじゃないかと思う。リスクを取ったものだけが味わえる投資の醍醐味なのだ。

その代わり信じた銘柄を保有し続ける覚悟が試されることになる。三井物産も長らく株価は低迷した時期があったし、その間多額の含み損が発生していた時期もあった。この時損切りせず、持ち続けたから今があるのだ。

資産形成のスピード上げるためにはこういう集中投資と何があっても手放さない勇気が必要だ。それには自分がトコトン納得して投資することと、余剰資金で投資をすることの二つが重要だ。それができないなら投資はやめた方がいいだろう。

おわり