先日、2回目のクリニックを受診してきた。
待ち時間が1時間で診察はわずか5分というのが一般的なのだろうが、今通っているクリニックは予約不要で、待ち時間は15分くらい。診察は10分くらいだったろうか。
良心的である。
僅かな診察時間でよくそこまでわかるなと感心したのだが、医者は本人でも気付かないような長年身に染み込んだ行動習慣が今の彼女を苦しめている点を鋭くついていた。
彼女はもともと気遣いができる人間で自分のことより周囲を気にするタイプの人間だ。医者はこの点を言い当てており、決して悪いことではないという前置きをした上で、これは小さい頃から身についた彼女の処世術であり、過剰な気遣いが、本人の見えざるストレス源になっている可能性を指摘した。
もっと気楽に肩の力を抜いて生きればいい。そういうことを言いたかったのだと思う。
他人への気遣いというのは日本人の美徳であるし、それ自体は何ら悪いことではない。しかし、それが過剰に義務化してしまうと精神を悪化させる。
近所のゴミ拾いを日課でやっている殊勝な方をたまに見かけるが、これも本人がゴミ拾いが好きで趣味のように思っているのなら全く問題ない。逆に義務のように感じて頼まれもしない近所のゴミ拾いをやっているのならやはりそれは行き過ぎだということか。
問題なのは無意識に染み込んだ処世術として過剰に周りを意識してしまうことにあるらしい。特にうつ病になりやすい人はそういうタイプの人が多いということなのだろう。
三つ子の魂百までというが、まさにそれで、小さい頃に身についた行動様式とか立ち振る舞いというのはそう簡単に変わらない。しかし、医者からの指摘を受けて多少意識して生活出来れば精神的な負担感はぐっと減るのかもしれない。
治療方針は兎に角抗うつ剤の力を借りて少しでも精神的な負担を和らげること。これに変わりはない。
加えて無意識に精神を追い詰めてきた考え方を外部の指摘も受けながら少しずつ変えていく。そんな治療になっていきそうである。
抗うつ薬は今日から薬量を倍にして二週間様子を見ることになった。二週間くらい経てば血中濃度が安定してくるはずで効果も期待できると思う。
薬が本人の体質に合ってくれればいいのだが。
まだまだ始まったばかりで長い長い道のりではある。覚悟を決めてこの病気と向き合っていこう。
おわり