この間寝る前にぼんやりテレビを眺めていたら若手漁師がバラエティ番組に出演していて、仕事の内容とかやりがい、はたまた収入まで赤裸々に語っていたのでついつい見てしまった。
現役漁師三名が南海キャンディーズの山ちゃんとシズちゃんと対談する形式で番組は進行。
漁師のうち一人は焼津の遠洋カツオ漁船の船員で一度の航海は40日なんだとか。
もう一人は由比の桜えび漁船の船員。もう一人は女性で下田の金目鯛の一本釣り漁船の船員だった。偶然なのか全員静岡の漁師だった。
漁師の仕事とか漁師ならではの裏話的な内容で興味深かったのだが、思わずぷっと吹き出しそうになったのが彼らの金銭感覚である。
漁師なら誰しもたくさん水揚げしてたくさん儲けたいと思っているし、その点は私のようなリーマンも基本同じであろう。いや、頑張っても頑張らなくても大して報酬が変わらないリーマンより、漁師の方が仕事に対するモチベーションは高いかもしれない。取ったもん勝ちで取れなければ食っていけない厳しい世界だ。それに常に事故のリスクを孕んでいるし決して楽な仕事ではないと思う。
番組を見ていて面白かったのは、命をはって稼いだ金の使い道だった。
漁師の一人は番組でこう語っていた。
自分は車が好きで、むかし景気が良かった頃にアメ車を買ったんすけど、その後不漁で生活きつくなったんで泣く泣く手放したんです。年間2000万円儲けたら、まず車を買い替えたいっす。ポルシェが欲しいです。
見た目が少々間抜けな顔をした漁師が言うものだから、正直吹き出してしまいそうになった。
自分が稼いだ金だし他人からとやかく言われる筋合いはないのだが、稼いだ金を車に突っ込むというのはとても古典的というかわかりやすい。フェラーリを乗り回すために命をはって漁に出ており、フェラーリが働き続ける強力な動機になっているのだろう。
私の理解の範疇を超える金銭感覚ではあるが、ある意味羨ましいことだ。働き続ける意味をあれこれ自問しなくてもいいわけだから。
金がなくなっても金は海の中にある。健康であればまた海に出て漁をして金を拾えばいい。そして使いまくる。そういうたくましさを漁師から感じた。
日本中のリーマンが漁師のような考えで消費行動を取れば日本の閉塞感など吹っ飛ぶことは間違いないだろう。
彼らからすればドケチ節約志向の人間こそ理解の範疇を超えているのだろう。「そんなケチケチして人生楽しいの?」
そんな声が聞こえてきそうだ。
おわり