アフターコロナの世界③

Pocket

アフターコロナの世界について第三弾となります。

これまでコロナがもたらす社会的な行動変容について書きましたが、今回はこれから確実に起こるであろう雇用不安について。

新型コロナはまっさきにサービス業(飲食、アパレル等)を直撃しました。いわゆる三密を避けるため、レストランや居酒屋、人が多く集まる大型商用施設は営業自粛を強要されています。

働きたくても働けない。需要が目の前で蒸発するのはまさに断腸の思いに違いありません。

一方で私のような比較的大きな会社の事務職は人との接触を減らすべく、テレワークになったとはいえ、日々の仕事がなくならないし毎月の給料もキチンと振り込まれてます。

だからニュースで出てくる飲食店経営者の苦しい状況を聞いてもどこか他人事で同情的な感情しか湧いてこなかったのが正直な思いです。

しかし、全世界で経済活動が制限され、未曽有の失業者が出ている中で、新型コロナの影響はほぼすべてのサラリーマンへ波及するはずです。

この影響から逃れられる人はまずいません。そう、これから私のような社畜サラリーマンへの影響が出てくるのです。

これまで毎月の給料の振り込みも年2回のボーナスの振り込みも「当たり前」のこととして受け止めてましたが、アフターコロナの世界においてはどうやらそれが「当たり前」でなくなると思われます。

どういうことか?

端的にいうと未曽有の経済危機が待ち構えているということです。

おそらく4-6月のGDPは20%超の落ち込みになるでしょう。20年は年間を通してもGDPは1割近く減るのではないでしょうか。

日本のGDPをざっくり500兆円とすれば1割減というのは50兆円に相当しますね。これほどの落ち込みが1年足らずの間に起こるというのは前代未聞というか、少なくとも私の人生では経験がありません。

新型コロナパンデミックの影響が長期化する見通しとなっており、経済の縮小は21年も継続すると思われます。今年は売上半減来年はやや回復。そんなぞっとする見通しの中、普通の経営者ならどういう手を打つか?

これから何が起こるのか、企業経営者の立場に立って予想してみたいと思います。

聖域なきコストカットが行われる

これから売上が前年比4割減、5割減という状況がしばらく続きます。いつ売上が元の水準に戻るか誰にもわかりません。売上が減る中利益を残して株主に還元しなければならないのですから費用を抑えるしか利益を残す方法はありません。

会社のおける費用を大別すると、人件費(給与や賞与)、福利厚生費、広告宣伝費、旅費、交際費、光熱費、賃借費、通信費、消耗品費、開発研究費などがあります。これらの費用がカットされることになります。

旅費と交際費は新型コロナの拡大防止の観点で早い段階から抑制されました。今後経済活動が再開されても、売上が減る中、コロナ以前と同じ水準に戻すのは困難でしょう。

次に締め付ける費用項目は人件費、特に賞与になると思われます。

賞与はだいたい業績連動で上にも下にもふれますし、労使交渉においても組合の理解を得やすいからです。賞与ゼロも覚悟しかければならないかもしれません。

そしてありとあらゆる費用は抑制の対象になります。コピー機の使用なんかも抑制されるでしょう。空調の温度設定も厳格に管理されます。そうまるで乾いた雑巾を絞るような徹底したコスト削減が継続して行われることになります。

あらゆるコスト削減を実施してなお、経営が厳しいと判断した場合、次なる手はいよいよ「解雇」になります。

大企業の多くは新型コロナ禍の前から人員調整を進めていました。早期退職者募集というやつですね。割増退職金を支払う代わりに社員に辞めてもらう。そういう制度です。

今年はこの制度を使った人員整理がたくさんの企業で行われることになるでしょう。

社内失業状態にある年配社員が真っ先に消えていくことになるでしょう。私の会社にも掃いて捨てるほど仕事のないおじさんとかおばさんがいますね。

可哀そうですが、古き良き時代、つまり終身雇用制は音を立てて崩れていきます。会社はもはや余剰人員を雇い続ける余裕はなくなるのです。

この社内失業者、いったい日本に何人いるのでしょうか?リクルートによると400万人いるそうです。これは日本の正社員の約1割なんだそうです。

驚愕の数字です。日本の生産性が他の先進国に遠く及ばない原因の一つはこの社内失業者のせいでしょう。生産性=利益/社員数だとすれば、分母が大きい分、生産性は悪化します。

新型コロナ禍による企業業績の悪化は日本型雇用の見直しを一気に加速させる可能性が高いといえます。私のようなおっさん社畜はまさに受難の時代に再度突入することになりそうです。

おわり