最近、色々あって海外出張は控えていた。
うつ病の嫁さんの状態があまり良くなく、今年の1月には祖母を亡くしたこともあって、1週間とはいえ一人にさせるのが怖かったのも理由のひとつだった。
それだけではないのだが、簡単に言ってしまえば私が行こうが行くまいが、大勢に影響を与えなかったということ。だからわざわざリスクを犯して出張などせずに日本にいた方がいいという判断だった。
ところが静岡に戻ってきてやや風向きが変わり始めている。
嫁さんの病状は相変わらずだが、ひとつは若手のお守りが必要になっていること。まだ実務経験の浅い新人を一人で海外出張に出すのは怖い。誰かベテランが一緒についていってやる必要がある。
私も課では古株の部類に入る。課長を除けば私が最年長。そういうこともあって、そろそろ海外出張に出なければならなくなった(ホントは日本で茶でもずずっとすすってたいのだが)。
若い社員を育てるのも給料を多くもらっている中堅社員の仕事のひとつなのは言うまでもない。そして若者もやがて中堅になり、ベテランになって会社を支えてもらわなくてはならない。
私が本社で4年半過ごしていた間も静岡では世代交代が進んでいた。私と同じ年代の人たちは昇進して課長代理のようなポジションを勤めている人もちらほら見かける。
10年前なら想像するのが難しい状況である。自分が会社組織において後進の育成に関与するとは思っても見なかった。
企業というものは常に前を向いて走り続けなければならない宿命をもっている。過去の栄光に浸るわけに行かず、常に事業が成長するために走り続けるのだ。走るのを辞めた時、それは会社が死ぬ時だから倒産した時ということになる。
そして私も含め、社長以下全従業員は会社が走り続けるための歯車として働いている。古い歯車はやがて新しい歯車に置き換えられ、会社は株主のために永遠に走り続けるのだ。
おわり