定年まであと何年?と考えたら絶望した時の話

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うちの会社、長年勤めあげた人には優しいようで、特に功績を多く残し会社の発展に寄与した場合、その方の講演会を開いたり、感謝状とか記念品を授与したりする。ちょっとウェットなところがあるのはいいことだ。

夏休み前にそういった講演会が催され、私はそのアレンジの責任者だった。ホテル手配、記念品の手配、食事の手配、出席者の確認等々…。部下と分担しながらなんとか乗り切った感じです。

今回の退職者はパールさんというアメリカ人の方で68歳になられるため、そろそろご勇退されるということでした(ちなみにアメリカには定年退職という制度はない)。

記念講演会ということで、この会社で積み上げたキャリア、会社生活での思い出、仕事に対するモットー、今後を担う若い社員へのメッセージ、30分程度のスピーチをパワポ使いながら行ってもらいました。流石はアメリカ人、所々ユーモア溢れるジョークを挟みつつ皆の爆笑を誘ういいスピーチでした。

講演会も無事に終わり、パール氏がお帰りになったあと、会議室の後片付けをやっていたら、後輩のY君がぼそっこんな一言。

「68歳ってすげーな。俺30歳だからあと38年か…」

ちなみに彼はうちの会社の若きエースで、帰国子女で英語はネイティブ並、大学は慶応です(二流の地方国立大卒の私とは格が違いますね)。

私もこんな風に返しました。

「俺は40だからあと28年か。長げーな…」

いやいや、冗談抜きで本当に長いよ。こんな仕事をあと何十年もずっとやらなきゃいけないのか?

口に出してこそ言わなかったが、Y君も私も同じ台詞が頭に浮かんだようだった。顔を見合わせお互い思わず苦笑してしまった。

しかし、どうやったらあと何十年もモチベーションを保ちつつ仕事ができるのだろうか?

パールさんの講演会の中にいくつかヒントがあった気がする。今回はそれを紹介したい。

スピリチュアル

宗教が、キリスト教が私を救ってくれた

彼は敬虔なカトリック信者だったようだ。恐らく勤労というものを大事にしているのだと思う。金があろうとなかろうと体が元気なうちは働くことが自然でそこに疑念の余地はないようだった。だからといっていきなり日本人がキリスト教に帰依しろというのは暴論だが、宗教に限らず自分の人生哲学をしっかり持てば迷うことはないということなんだと思う。

スタミナ

体を鍛えなさい。健康を維持することで困難な仕事にも立ち向かう気力とそれを完遂する体力が出てくるものだ。

「健全な肉体に健全な魂が宿る」というが、まさにそういうことを言っていた。毎朝ジョギングを欠かさないのだとか。これは真実でしょうね。体と精神が健康であるからこそ色んなことができるのであって。これはサラリーマンにとっても大切なことですけど万人に共通する普遍的な真実だと思います。

勇気

勇気をもって困難なことにも挑戦して欲しい。長い道のりかもしれないがそれがあなたを成長させ、ひいては事業を成長させる力になる。

勇気とは英語ではcourageだが、別の難しい単語を使っていたから忘れてしまった。仕事やってると時に困難を伴うことがあり、絶対無理だと諦めたくなるような難しい案件もある。だが、諦めずに勇気をもって困難という名のやぶの中にわけ入ってその中に落ちているヒントを探せという話だった。彼がそういう困難な仕事をやり遂げたからこそ今がある。とても説得力があった。この言葉が一番印象的だった。初めから無理だと諦めてやぶの中に入らなかったらもうそこで終わりである。漫画スラムダンクにも同じような教訓があったな。安西先生曰く「諦めたらそこで試合終了ですよ」。

最後に

本当に定年まであと何年?とか自問し始めるようではダメだな。そんな後ろ向きな心構えではダメだ。常にポジティブ。己の人生を肯定すること、それが長く仕事を続けるためには必要なことなのかもしれない。

挫けそうになったらパールさんの言葉を思い出したい。

おわり