ぼんやりテレビを見ていたら孫正義さんがNスペに出てましたのでそのまま最後まで見てしまいました。
今流行りのAIについての番組でしたが、中々見応えがありましたね。
まだ私の身近にまでAIは来てませんが、恐らく時間の問題なんじゃないでしょうか。今後ジワジワAIが生活の隅々まで広がっていくのでしょう。
これからの家電は勝手にネットに繋がってお節介やいてくれるんでしょうね。
番組の中でAIが単純作業者の仕事を奪うことが問題だという話がありました。単純作業というのは、例えば工場のライン作業員とか、ビルの清掃員など。
いずれも楽な仕事ではないです。それを機械が代わりにやってくれるのですから有難いと思いますが、事はそう単純でもないようで。
テクノロジーの進化と失業。これですね、問題は。
労働者が仕事を機械に奪われていくー
番組では二つの事例が紹介されてました。ひとつはアメリカのラスベガスのホテルで導入されているロボット。バーテンダーの代わりにカクテルを作るロボットが働いてましたし、客室までペットボトルの水を届けるデリバリーロボットも。
もうひとつは日本の事例で、巨大ショッピングモールの床清掃ロボットの紹介でした。人を雇うよりも安く、初期投資の回収も早期にできそうということで、5台のロボが活躍しているのだとか。
技術革新と失業。そんなことは歴史上起こってきた筈なんですよね。
産業革命による蒸気機関の発明で当時主流だった馬車は駆逐されてしまいました。大勢の馬の生産に関連した仕事がなくなりました。
それでも、労働生産性が上昇し、賃金も上昇し、新しい雇用が創出され、人々の生活はより豊かになったのでした。
AIでも同じことが起こるのでは?と思っていましたが、どうやらここが問題らしい。
インターネットです。この技術革命は人類史上初めて労働生産性が上昇するのに賃金が下がり失業が増えるという現象が起こったのです。
そしてとんでもない格差が生まれました。なんでも世界の8人の大富豪の富が36億人の貧困層の富と同じという。
ですが、テクノロジーが格差を助長したというのは多分誤りで、格差を招いたのはグローバル化だと思います。インターネット自体は悪くない。
安い賃金、安い法人税を探してグローバル企業は資本を移動させます。そこで出た利益は労働者に還元されることはなく、利益は株主に還元されてしまうのですね。これが資本主義ですから当たり前なんですが。
そうして持つ者はさらに豊かになり、持たざる者との格差は開いていく…そういうことなのかなと。富の再配分。これは多分に政治的な話かと思います。
ですから、未来に起こるであろうAI 革命もまたグローバル化、グローバル企業という視点で考える必要があると思いましたし、AI がコスト削減の手段となるなら世の中は確実にその方向に邁進することは避けられないと思います。
コストダウンの手段として様々な企業がAIを活用するようになれば、固定費の塊である人件費は削減される運命にあります。AI もただで導入できるわけではありませんし、立派な設備投資ですから。
工場に自動化ラインを入れて省人化することはもともと製造業では普通にやってることですし、今まで人がやってた仕事を自動化ラインで24時間作り続けることができるのですから、場合によって会社も労働者もハッピーなんですよね。労働者はもはや辛い夜勤や残業をする必要はなく、寝ている間にロボットが製品を作ってくれるのです。
ロボット化の恩恵は特に重労働かつ危険を伴う作業でそれ故に慢性的に人手不足に悩んでいるような場合大きいですよね。
危険な仕事から人間が解放される分、人間はもっと別の仕事をすればいいだけなんで、基本的に我々労働者にしてみればAI による恩恵は大きいと思うのですが、番組でも専門家はやはり失業問題を非常に気にしてました。
でもだからと言ってこれから少子高齢化が進む日本において失業が増えるからといってテクノロジーの進歩を認めないというのはちょっと違うかな。むしろ逆で、働き手が少なくなるのだから、AI でもロボットでも使えるものはバンバン導入しないと経済が縮小して衰退していく気がします。
それに日本だけがテクノロジーにノーと言ったところで世の中はそっちの方向に進んでいくので、取り残されるだけですからね。
テクノロジーの進化を肯定的に捉える方がいいと思います。例えば現実的にトラックドライバーが足りないのです。もし自動運転技術が進歩してトラックの無人化走行が可能になったらこの問題は解決すると思います。
肉体的にもキツイ長距離トラックは無人化とし、観光バスとか路線バス、短距離の輸送トラックや宅配は有人でやればトラック運転手の失業が問題になることなくAI と人が調和できるのではないかなと思うわけです。
工場の単純作業員も基本的に同じだと思います。
10時間勤務が5時間でよくなったら、余った時間で別のことをして稼げばいいだけで、それが当たり前になったらそういう人生設計になるだけだと思います。
番組中は失業対策のため、ベーシックインカムの導入が議論されてました。意外にも孫さんはベーシックインカムに肯定的でしたね。
ですが、問題は財源です。
孫さんはAI で儲けた会社の法人税から出すという考え方にも賛成されてました。
ベーシックインカムとして月10万円くらいを与えられ、自分の好きなことをして残りの生活費を稼ぐスタイルなんですが、月10万円ではそれだけで生きていくには物足りない金額なんですよね。もっと豊かに生きたいと思わせるにはちょうど良い金額なのかもしれませんね。
日本の場合、人口減少社会に突き進むのですから、AI を駆使して労働生産性をあげ、きつい肉体仕事から労働者を解放し、浮いた時間でもっと人手がいる産業に労働者を配分するべきでしょう。
ベーシックインカムもありでしょうが、大人が学べる職業訓練校の充実も必要だと思いました。
おわり