働き方改革に関する雑感

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外資系の保険会社に転職した知り合いから聞いたが、保険の外交員というのはほぼ出来高払いらしく、つまり保険を売った出来高に応じた収入となる。

それに商談のための交通費なんかも自腹。商談が不発に終わっても交通費は返ってこない。

厳しい世界だと思う。

頑張ったら頑張った分収入が増える。そういう意味では労働者の勤労意欲を高める効果もあるのかもしれない。

気になって人事処遇に関する口コミを調べてみたところ…

Aさん:フルコミッションではあるが、等級に応じた固定給がある。募集手当が固定給を上回った場合は、差額が上乗せになり、下回った場合は固定給が貰える。

Bさん:頑張りが数字になれば、頑張った分がキチンと収入となって評価される。頑張った時の夢のような収入を思い出すと、他の仕事はもう出来ない。

Cさん:入社して2年から5年は貯金を崩して頑張らないと手取りがパート並と現場に入ってから先輩方から言われました。満足できない年収なのは自分が契約取れないからという事でしょう。ボーナスでまとまった金額をもらえても月の報酬が成果報酬なので思いきった買い物などはできない。

一方、私が勤めるような典型的な昭和の大企業の人事制度はいわゆる「職能資格制度」と言われる制度であり、長年日本企業の繁栄を支えてきたシステムだと言われている。

出来高制も職能資格制度もそれぞれメリットデメリットがあるのだろうが、生産性という意味でインセンティブが高いのは出来高制だろう。

結果が全てであるから無駄な会議もないだろうし、ダラダラ残業なんてのもない。長時間の残業をしたところで成果が伴わなければ評価されない仕組みだ。

一方、職能資格制度の場合、というか古い日本企業の場合、成果主義とは名ばかりであり、長時間労働がスタンダードというか前提化してしまっているのは否めない。

そこで働く労働者も残業代を含めた賃金で生活設計を立てているものだから、如何に効率よく仕事をして早く帰るかというインセンティブが働かない。

例えば本来であれば1時間で終わるはずの仕事をダラダラやって2時間かけているAという社員がいたとする。こういうタイプは職場に必ず存在し、大した仕事量ではないはずなのになぜか毎日遅くまで会社に居残っている。

逆に本来1時間で終わる仕事を30分で出来るBという社員がいたとする。悲しいかな今の人事制度では仕事を早く片付けたところで早く帰っていいわけでもなく、むしろさらに別の仕事が回ってくるだけだ。で、定時で仕事を切り上げて帰宅する。

明らかに会社への貢献度は後者のB社員なのだが、手取り収入は無駄な残業ばかりやっているB社員の方が多いのです。

B社員にしてみれば働き者が損をする制度に映るだろうし、バカバカしくてやってられない。1時間で終わる仕事を30分で終わらすインセンティブはゼロであり、こういう人間ばかりになると会社の生産性は大きく阻害されてしまう。

裁量労働制且つ明確な成果主義を取り入れる事が何となく解になりそうだ。

成果さえ出ていれば労働時間は関係ないし、毎日出勤する必要すらなくなる。毎日自宅勤務。週一とか週ニで午後から出社。

難しいのは「成果」の定義になるだろう。これはその部署が果たしている役割に左右されるから、保険のように単純な売上だけで判断出来ない場合も多々ある。

それぞれの役割に即した成果を設定しないとこのやり方はうまく機能しないだろう。

課題はたくさんあるだろうが、こんな働き方が当たり前になる日が是非来て欲しいものだ。

おわり