大学の頃、所属の研究室の教授がことあるたびによく学生たちに言っていた言葉がある。
「学生さんはいいよね」
その教授はお茶が好きで、よく学生を部屋に入れてちょっとしたお菓子とお茶で雑談することがあった。
その際、よく言ってたのがその言葉だ。
私はいつもこの言葉に違和感を感じていた。
大学教授のお仕事は多忙で大変。それに比べて学生さんは楽でいいよね、だって…
だって以降の理由はたくさんあると思う。そりゃそうだ、学生なんだから。
しかし、私は学生が社会人に比べて楽だと思ったことは未だに一度もない。
学生は学生で多忙であり、責任も背負っており、何より不安定だ。
ずっと学生の立場にいれるはずもなく、やがて社会に飛び出さねばならない。そのプレッシャーは中々のものだった。
学生が楽だというのは単なる思い込みに過ぎない。
学生だけではない。
生きてる限りみんな大変なんだ。サラリーマンも、経営者も、OLも、主婦も、子供も、学生さんも。
お前らは楽だとか、気楽でいいね、なんて言葉は誰に対しても思う必要はない。
みんな生きることに苦労しているのだから。楽して生きてる人間なんて一人もいやしない。
他人の芝生が青く見えるのかもしれないが、それは間違いだと。
みんなそれぞれ人に言えない苦労を抱えて生きているのだから、お互い大変だね。一緒に助け合おうという精神を持ちたいものだ。
おわり