巨大企業の終焉

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日本の大手企業の中でも重電企業、つまり日立、東芝、三菱はその事業領域が多岐に渡り、コングロマリット(複合企業体)と呼ばれる。

総合商社もある意味同じで様々な事業を手がけており、コングロマリットと呼ばれている。

株式投資をやっている人なら聞いたことがあると思うが、コングロマリットディスカウントという言葉があるように、こういった企業の株は大抵割安で放置されている。

何故なら事業領域が広すぎて、全体を理解しにくいからだ。理解しにくいものに大金を投じるのは怖い。

だから企業全体として儲かっていても株価は常に安い。

今まではそれでよかった。

働いている人も経営者も業績がそこそこ堅調であるなら問題ない。

しかし、そうもいかなくなってきている。特に総合電機だろう。

グローバルな競走に晒されており、テクノロジーの進歩は早い。

こういう苦難の時は優れたリーダーシップが必要だ。会社の舵取りは本来優れたリーダーによって行われなければならない。

しかし、現実はそうとは限らないのが日本の古き伝統だ。これらの恐竜の如く巨大化した組織というのはリーダーシップ不在でてんでバラバラ。

サラリーマン社長で3年の任期を終えるまで無難に運営したいチキン社長の下では長期的視座で会社の進むべき道を決めたり出来ないのだ。

経営者としては失格だ。

こんな無能なチキン社長の下では企業統治など出来やしないから、三菱のようにわんさか不正や不祥事が噴出する。

東芝もしかり。ガバナンスなどないに等しい。

こういうどうしようもない組織をまとめあげることなどそもそも無理なのだから巨大複合企業はすべからく事業分割すべきというのが私の持論だ。

実際、東芝はまさにそれをやろうとしている。まさに生まれ変わろうとしているのである。

以下、今朝のYahooNEWSの抜粋だ。

東芝はGX市場に自らの形を合わせるように、グループ全体の3社分割計画を打ち出した。23年度下期を目標に、エネルギーやインフラ、昇降機などのインフラサービス会社と、パワー半導体やハードディスク駆動装置(HDD)などのデバイス会社、キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)や東芝テック株式を管理する東芝の計3社に再編する。

この再編は働いている従業員にとっては大変な変革だと思う。大企業というぬるま湯にもはや浸かることは許されないのだから。

巨大化して身動き取れなくなった東芝本体からスピンオフすることにより得られるメリットはただ一つ。そう、経営判断の迅速化にある。

数多くの事業領域を抱える複合企業がたった一人の社長によってスピーディーかつ的確なる経営判断を下せる方がおかしいのだ。

できるわけがない。土台無理な話なのである。

成長するためには無駄な贅肉を削ぎ落とし、素早い経営判断を断行できる能力を身につけねばならない。

それが世界的な競争の中で生き残る唯一の方法なのだ。

日本はこれから未曾有の人口減少に見舞われる。これは避けがたい運命だ。決して逃れられない。

だから日本企業は世界で戦わなければならない勝てる戦術を立てる参謀(つまり経営幹部)の下、その戦術通りにプレイ出来るプレーヤーが求められる。

そのためには会社分割は有効な手だ。

東芝の試みについては高く評価したい。今後の展開を注視することにする。

おわり