今年は課内で2人も退職者を出してしまったわけで、彼らも退職を決意した瞬間があったと思う。
転職経験のおありの方はもれなく何かしらのキッカケで退職の意思を固めると思う。
半年ほど前に辞めた20代の若手は上司からこっぴどくプレゼンを批評されたことが退職の引き金になったようだった。
たまたまその場に私も居合わせていたのでその光景はよく覚えている。
彼を庇おうとしたけど上司の怒りは収まらず、ネチネチと若手を責め立ててダメ出ししてた。
そうしているうちに彼の心が「ボキ!」と折れる音が聞こえた気がした。
若手の表情が無表情になっていって、「あー、これは辞めるかもな」と思ったらやっぱり辞めてしまった。
かくいう私も10年ほど前だが前の会社を辞めることを決意した瞬間というのがあったな。
私の場合は上司と馬が合わなかったのが大きい。辞めた若手に近かったかもしれない。
当時、私は入社5年目でオーストラリアを担当していたが、なかなかモノが売れずに行き詰まっていた。
自社で販売基盤を持っていなかったから販売は取引先任せ。そんな中、売上を伸ばすためにどうしたらいいかを色々と考えていた。
私なりに考えた策を企画書という形でまとめたものを一度その上司に提出して見てもらおうとしたのだが、翌日私の机の上には全ページに赤字でバッテンがついた企画書が置かれていた。
これには参ってしまったな。自尊心がひどく傷ついた。
この人と今後も同じ職場でずっと侍従関係で仕事を続けるのは無理だなと思い、転職を決意したのでした。
仕事の内容は合わないわけではなかったが、良好な人間関係を築けなかった。そんなところだろう。
転職市場が開かれている昨今、嫌になったら辞めてもいいという選択肢を持つことは大変良いことだ。
私があのまま嫌な上司と仕事を続けていたらきっと精神がおかしくなっていたと思う。実際、鬱病寸前まで追い込まれていたわけで。
逃げ出して良かったと今もその点は後悔はしていない。
辞めた若手と10年前の私の共通点は「自尊心をひどくやられた」ところかと思う。
上司に悪意があったかは分からない。ひょっとしたらプライベートでトラブってて機嫌がすこぶる悪かっただけなのかもしれない。若手のためだと思って少々乱暴な言い方になったのかもしれない。
いずれにしても若手といっても生身の人間であり、プライドもあるということ。この自尊心をやられると人って簡単に辞めることを決意する。
私が昔そうだった。それを忘れないようにしないといけませんね。
おわり