最近、また課の人事異動の発表があった。長年、欧州地域を引っ張ってきたHくんだが、部付きになった。
つまりそのうち海外に出向ということである。
彼の出向先は様々な憶測を呼んでおり、よく分からないが、噂によるとアジアの某国らしい。
それを聞いた時、「なるほどな」と思った。これはつまり制裁人事なのだなと。
制裁人事。ウィキペディアによるとその定義は
企業内などで、不当なストライキやサボタージュ、その他内部告発、育児休業、介護休業、産休などの行為を行って自社に不利益をもたらしたり、人事権を持つ者が(個人的な主観により)「気に入らない社員に対する報復」(差別、いじめ)を本当の目的として異動、降格、減給、リストラ、懲戒解雇(退職金の支払いを免れる手段)などの名目に人事異動を行うというパワーハラスメントのひとつ。
ウィキペディア
らしい。
Hくんはというと別に会社に不利益をもたらしたとか、内部告発したとか大それたことは何もしていない。
だが、性格が問題が多かった。特に上司へ楯突くことが多く、しょっちゅう対立していた。時には大声で上司を恫喝することさえあったらしい。
内部から嫌われていただけでなく、外部でも敵が多かった。何事も筋の通らないことに対して正論を誰に対してもストレートにぶつける。
引くことをしらないと自然と周囲の軋轢を生むことになる。内部外部からこれだけ嫌われれば仕方のないことかもしれない。
誰も好き好んでこの問題児を引き取り一緒に仕事したいとは思えわないだろう。だが、ずっと今のポシジョンというわけにも行かなくなる。
Hくんには気の毒だが、会社の人事というのはそういうものなんだろう。
上司に楯突く、偉い人にもズケズケとモノを言い、相手の間違いを徹底的に攻撃する。こういう性格は仮に仕事は出来たとしても上からの評価を得ることはない。
Hくんのような性格はサラリーマンという長いレースを生きる上ではかなり不利になる。
今回の制裁人事の良い教訓になった。私もつい感情を抑えきれない時があるが、自重しなければならない。
しかし、会社というところは理不尽なところだ。常に会社や人事権を持つ者に生殺与奪の権を握られていると言っていい。
Hくんも仕事を離れると別に悪い人間ではない。軽快なトークに周りを笑わす才能もあるやつだ。
ただ、怒りをコントロールするのが苦手なタイプ。私も同じタイプだからよくわかる。周りがみんな馬鹿に見えるのだ。
だが組織の中で自分の意見を通すためにはもっと狡賢くならないといけなかった。恫喝して相手を屈服させるやり方ではダメなんだ。
色々考えると会社は面倒だ。FIREしたくなる気持ちは私も痛いほどわかる。
おわり